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  2. 当院における食事指導は「糖質を一定に保つ」ことが基本です

当院における食事指導は「糖質を一定に保つ」ことが基本です。

 糖尿病の患者さんで食事管理を行わないと、A1C値をコントロールするために糖尿病のお薬が増える結果に繋がります。当院では「糖質量=炭水化物量ー食物繊維量」を一定に保つ」ことを基本としています。

A.「糖質を一定に保つ」について

 糖尿病の人は食事の糖質量を一定に保つことで、血糖値の管理がしやすくなります。特に、インスリンや糖を下げる薬を使っている人にとっては、糖質量を調整することが重要です。食事の糖質量が血糖値に直接影響するため、食事の糖質を管理し、インスリンの量を調整することで、血糖値を安定させることができます。

  1. 基本的な糖質管理
    1. 基本的な糖質管理では、1日に摂取する糖質の量を決め、それを食事やおやつに分けます。例えば、1食ごとに60グラムの糖質を摂ることを決めて、それを守ります。
    2. スマホアプリのカロミル®を使った指導
      ⇒ 健康管理アプリ「カロミル」(ライフログテクノロジー株式会社)
      1. カロミル®は食事の写真を取ったり、登録されている食品、貼付バーコードを読み取ることで炭水化物量、食物繊維量、たんぱく質量、脂肪量、総カロリー量などが表示されるフリーのスマホアプリです。食べる前に糖質量を自分でチェックすることができるので、食べ物選びの助けになります。
      2. 患者さんは受診時に管理栄養士の指導を受けて、食事の糖質量がどの位か、たんぱく質が不足していないかを少しづつ学んでいきます。
    3. プレート法
      1. 糖質の計算が難しい人には、「プレート法」があります。これは約21㎝の皿を使って食事を分ける方法です。朝食は糖質が約1/2、たんぱく質1/4のバランスで配置し、それ以外に果物と牛乳等を小皿で追加する。昼食や夕食では皿の半分に野菜、4分の1にタンパク質、残りの4分の1に糖質(ご飯やパンなど)を配置します。この方法は簡単で、糖質の量をコントロールしやすくなります。
        プレート法とはプレート法とは
  2. 高度な糖質管理

     高度な糖質管理は即効型インスリンを使っている人には必要です。食事やインスリンの量を細かく調整します。例えば、ある人は夕食で60グラムの糖質を摂り、それに対して速効性インスリンを4単位使うと決めます。この場合、15グラムの糖質に対して1単位のインスリンを使っていることになります。食事の糖質の量に応じて、インスリンの量を調整します。この方法では、個々の必要量に合わせてインスリンと糖質の比率を決めることができます。

     FreeStyleリブレ(アボットジャパン株式会社)はリアルタイムでグルコース(糖)値を1分毎に測定してスマホでその値を見ることできます。患者さんは糖質を食べた量でどの位グルコース(糖)値が上がるのかがリアルタイムで判るので、この食事は糖質が多く良くなかった、この食事なら大丈夫と判るようになります。

B. 夕食後10時間あけて朝食を摂ることの大事さ

  1. 絶食期間の重要性

    夕食から朝食まで10~12時間空けることで、体の代謝が良くなり、健康が保たれます。

  2. 起床時に1時間以内に朝食をとり、太陽の光を浴びましょう

    人間の体内時計は24時間より少し長いため、毎日体内時計のリセットが必要です。朝に太陽の光を浴びると体内時計がリセットされ、日中の活動と夜の睡眠が整います。太陽光は、脳内のメラトニンというホルモンの分泌を止め、目覚めを促進します。これにより、日中に目が覚めて夜の睡眠の質も良くなります。

  3. 朝食を抜くとどうなるか

    メタボリックリスクの増加:朝食を抜くと、肥満や高血圧、糖尿病などのリスクが増えます。

    慢性的な炎症の増加:朝食を抜くと、体内で炎症が起こりやすくなり、動脈硬化や老化に繋がります。

  4. タンパク質の重要性

    食欲制御の悪化:朝食で十分なタンパク質を摂らないと、1日の後半に食欲が増え、間食が増えることがあります。

    代謝機能の低下:朝食のタンパク質が少ないと、血糖値のコントロールが難しくなり、筋肉量が減ることがあります。

  5. まとめ

    バランスの良い朝食を摂ることが健康にとって大切です。特に、タンパク質をしっかり摂るようにしましょう。

C. 栄養ケアプランの作成

当院では糖尿病患者の栄養管理は医師の指示により管理栄養士が行いますが、最終的には、患者さん自身が血糖値管理や糖尿病の合併症予防のために何をするかを決めます。

  1. 食事履歴の確認

    栄養ケアプランを作るためには、まず以下の点を含む食事履歴を確認します。

    • 好きな食べ物
    • 食事の内容
    • 食事やおやつのタイミング
    • 運動のパターン
    • 社会的サポート
    • 時間の制約
    • その他の課題

    数日間の食事記録も役立ちますが、短い診察時間では24時間の食事履歴でも十分です。

  2. 栄養のおすすめ
    糖質量、たんぱく質量を使った指導糖質量、たんぱく質量を使った指導

    患者さんの能力やライフスタイルに合わせた栄養のおすすめを行います。体重管理、活動量、日々の糖質摂取量、精製されていない全粒穀物の摂取を中心にします。食事のタイミングを一定にすることも重要です。

  3. 栄養素のバランス

    糖尿病の人にとって理想的な栄養素の割合は個々に違います。以下の点を重視して指導しています。

    • 炭水化物:果物、野菜、全粒穀物、豆類、低脂肪の乳製品など、栄養価が高く繊維質を含むものを推奨します。炭水化物の摂取量を管理することが血糖値の管理に重要です。
    • 脂肪:脂肪の質が重要です。トランス脂肪は心臓病のリスクを高めるため避け、魚、オリーブオイル、ナッツに含まれる一価不飽和脂肪や多価不飽和脂肪を推奨します。飽和脂肪を一価不飽和脂肪や多価不飽和脂肪に置き換えるべきです。
    • たんぱく質:体重1キログラムあたり0.8グラムを目安に個々に合わせます。赤身の肉の代わりに、魚、卵、豆類、大豆製品、ナッツや種を推奨します。植物性たんぱく質に置き換えることで、血糖値や健康状態が改善されることが示されています。
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